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ブラジル・サンパウロで新聞記者の契約社員で働きました

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ブラジル・サンパウロで1年間の契約社員で新聞記者の経験をした方のお話。ブラジルで新聞記者になるきっかけから必要な能力、ブラジル生活や新聞記者として泣いたり笑ったり怒ったり色んな感情を一度に経験したことが、その後の人生に役立っています。

研修留学で新聞記者に

働こうと思った理由はなんですか?

大学在学中にブラジルをバックパックで旅行をしていて、ブラジルが気に入りました。

大学を卒業した後、鹿児島で就職したんですけど、どうしてもブラジルで就職したいという夢がありました。

それで、研修留学という制度で新聞社勤務の斡旋があったので、応募して新聞社で働くことになりました。2009年の話です。

サンパウロで新聞記者をやっておりました。1年間の期間のある研修生で、分かりやすく言えば契約社員です。

言葉はほとんど喋れないといっていいくらいでしたが、現地の日系人と日本人を相手にしている新聞でしたので、むしろ日本語を正確に話して書ける方が大事でした。

日本で斡旋している会社の面接を受けてブラジルに行きました。

まず将来自分がやりたいことは何かということと、日系社会にどっぷり浸かるけど大丈夫かということ、どうしてブラジルで新聞記者として働きたいのかという、目的や理由を聞かれました。

私の根本に係わる動機や夢などの内面を深く突っ込まれた面接でした。

住居は、47都道府県の県人会があるんですけど、ホテルではないですが部屋が何部屋かあって泊まれるようになっているので、そこに泊まらせてもらいました。もちろん費用はかかります。

ブラジルの物価からしたら、かなり安い料金で利用することができます。ブラジルは物価が凄く上がっている国で、日本と変わらないか高いくらいの生活です。

日系社会に関わることを取材して記事に

仕事内容はどんなことがありますか。

ブラジルは、日本人移住者が多いので日系社会がかなり発達しています。

その社会で行われるイベント、例えば日系団体の県人会のバザーや総会、日本文化の民謡、相撲大会、野球、祭など、文化事業・スポーツ・政治・経済で日系社会に関わることでしたら、全て取材活動をして新聞に書くことの繰り返しです。

新聞は日本語です。主な購読者は日系移民1世のおじいちゃん、おばあちゃんですし、駐在員も読んでいますので、現地のポルトガル語より日本語の方が良いんです。

一番上は戦前生まれの80歳くらいの方から、外国語大学の学生さんも毎年1人2人いますので、20歳から80歳まで幅広く働いています。

取材の実行部隊は20代30代の人達が土日も関係なく動き回っている感じで、年配の方は編集や現地の新聞の翻訳をして日本で発行する作業をしていました。

結構体力も重要です。取材で人の話を聞くというのはかなり集中力を要して、1日に何件も取材しますので、最後は体力勝負になります。

集中力があれば相手に集中して取材できますので、その日の体調次第で自分が取材できる内容が結構変わってきます。体調が仕事に影響しやすい職種だなと感じています。

人と会話ができて、声をかけないと取材ができないので、自ら声をかけられる人が求められます。文章を書くのが嫌いな人は向いていないと思います。

論理的に考えられる人は、更に新聞社に向いていると思います。

というのは、新聞というのはだらだら書いている訳ではなくて取材した情報量の10分の1くらいしか新聞にならないので、それを組み立てられる思考があればもっと向いていると思います。

普通の人でしたら全く問題ありません。

服装はラフでもなくフォーマルでもなく、Tシャツでなければ下はジーパンでも大丈夫です。

ただ年に何回か日本の政府関係の取材があって、政治家の方に取材する時はスーツで行くことがあります。でもネクタイは一度も使ったことがなくて、割と自由です。

髪型は、女性にはちょっと茶色がかった人はいますが、あまりファンキーな人はいなかったですね。むしろ男性は坊主の人がなぜか多かったです。

ブラジルは1ヶ月の最低賃金が3万円弱

1日どれくらいの時間働いていましたか?

そんなに多くないんですけど、朝8時半くらいから19時か20時くらいまでは毎日いました。忙しい時は23時くらいまで残っていました。

毎日が締め切りですので、夕方15時以降は本当にばたばたして、最後の最後まで編集している感じです。

新聞が全部埋まらないことが出てくる時は、必死になって何か新しいことを探したりして、毎日が戦争のようです。

忙しい曜日は月曜日ですね。週末の行事やニュースを火曜日にかけて取材したものを文字にする作業が、月曜日から火曜日にぱんぱんに詰まっているので忙しいです。

そこで吐き出さないと、どんどん週末にずれこんでいきます。

常に仕事は溜まっていましたが、週末と夕方が忙しかったです。年末年始は、日系社会はあまり行事が無いので、今の時期は結構暇です。

週末にイベントが多いので、土日はほとんど出ていました。一応土日は会社には行かなくて良いんですけど、取材先には常に行っていましたので、ゆっくりできるのは1週間に半日くらいですね。

ですけど、最後は体が慣れてきて上手いこと休む術を覚えます。

あとは、どんどん顔見知りになっていって取材先でも友達のように接してくれるようになるので、仕事をしている感覚は最後は強くなかったです。

休みには、洗濯と買い物と、何もしないことが凄く幸せでした。何も考えなくていいのと、泊まっていた所に洗濯機がなかったので、洗濯ばかりしていました。

掃除用の深いシンクみたいなものに洗濯板みたいな段々がついているので、それで洗っていました。脱水ができないので結構大変です。絞って絞って、1日かけて乾かす感じです。

でもそれが気分転換になっていたと思います。

契約社員みたいなものだったんですけど、収入は、1ヶ月で家賃も含めて5万円弱でした。ブラジルという国と研修生の立場からしたら、そのくらいが妥当です。

ブラジルではそのくらいの収入は全然良くないですが、もっと低い人もいます。

ブラジルは1ヶ月の最低賃金が法律で決まっています。まだ3万円いかないですね、3万円弱です。それで働いている人は2000万人か3000万人くらいいます。

最初はトラブルだらけ

仕事で困ったトラブルはありますか?

トラブルだらけですね。というのは、時間が経つにつれて取材方法も分かってくるんですけど、最初の頃は一度の取材で全ての情報やデータを収集できなかったことが多いんです。

後から相手先に電話などで連絡して、もう1度確かめる作業の積み重ねで記事はできるんですけど、そういった基本的な確認事項を確認しなかったミスは初期にはかなり多くて、凄く大変でした。

捉まって欲しい時に取材相手が捉まらなかったりもして、苦労しました。

それから、日系社会といえどもたまにポルトガル語が入ってくる行事があるんです。

ブラジル人が中心のイベントですとポルトガル語がメインになりますので、ポルトガル語でイベントが進むと日本語に直すのに苦労しました。

全く分からないので、後から確認する作業が凄く増えました。

どこの国でもそうですけど、1年いれば色んな行事が経験できて、2年目になるとまたもう1周、経験した行事ばかり経験します。

知り合いも増えますし、誰に聞いたらいいのかとか何をポイントに書いたら良いのかとかも分かってきます。

2年目以降は今までの経験をフルに使って同じ行事でもより深く書けるので、やればやるほど、はまる人ははまると思います。

好きな人は辞める理由が無いくらい中毒になると思います。実際に10年以上勤めている方も多いです。

正社員でも給料は安いので、経済的なことと好奇心があれば続くと思います。

私は1年間の契約でしたので、すんなりと辞めましたが、最低2年はやりたかったです。

自分が無い仕事

働いていて楽しいと思えること、良かったと思うことは何ですか?

インタビューは全て楽しかったです。取材するのは日本移民の方が多かったので、1人1人がそのまま本になるような苦労話ばかりでした。

自分が知らない経験したことがない世界がほとんどでしたので、取材するだけで幸せでした。

取材したものを文字に起こすのは頭を使って考えながらやらないといけないので結構面倒くさくて、それよりも取材している方が楽しかったしやりがいがありました。

私は小さい頃あまり本を読んでこなかったので、取材したものを文字に起こして編集するのに苦労しました。

論理的な考えの組み立てが苦手ですので、いまいちというか、自分ができない部分を見せつけられたと感じました。しょうがないんですけど、1年間通してずっと感じていました。

後半は自分が書いたものが新聞に載るのは当たり前の感覚になっていたんですけど、始めの頃は自分が取材したものが新聞に掲載されて色んな方に読んでもらえるということが、毎日凄く嬉しかったです。

更に、それに対しての感想がたまに来るんですよ。良い感想だと余計に嬉しいです。

その逆ももちろんあります。クレームというか、そういうものもありますが、良かったよという感想は凄く嬉しかったです。

新聞を書くというのは、自分が無いんですよね。

取材する方や物がメインなので、それをいかに自分を殺して読者に読んでもらえるかというのが仕事ですので、自分が無いんです。それが新聞社の特徴で、他の仕事とは全く違います。

ブラジルの新聞社は儲けるために取材して記事を書くような新聞社ではないので、全く他の仕事とは違うなと思います。

色んな方々と出会えたことと、人生や考え方を本音で話している人が多かったので色んな人生を知ることができたのは、良かったです。

日本語の情報誌は凄く少ないので、日本語の新聞は日系の方々から応援してもらっているんです。

皆さんに可愛がってもらって、大事に扱ってくれますので、そうした色んな方々と出会えるのが楽しかったです。

当地日系社会は本当に狭い社会ですので、そこで人との繋がりができたことは、やっていて良かったなと思います。

政治家や日系人会のおじいちゃんおばあちゃんから、幅広く人脈は広がって、その繋がりで今ブラジルで働けていると思います。

殺人事件の記事で、あわや裁判沙汰に

働く上で注意することはありますか?

自分が書いた文章が世の中に出るので、細心の注意を払って書かないと、ある人にとっては悪いことにもなります。

本当に注意して書かないと、些細な表現が誤解を招くことがよくあります。

例えば殺人事件や強盗事件が起こって、新聞社が勝手にこの人が犯罪者だという書き方をしてしまうことがたまにあったんですね。

そういう時は大クレームが来て、裁判沙汰になる一歩手前までいったこともありました。

自分が書く一字一句が色んな方や物へ影響する可能性があると常に感じていないといけないなと思います。あとは常識のあることをしていれば大丈夫だと思います。

お仕事をする上で必要な資格や、特別に勉強することはありますか?

資格は特にいらないんですけど、本はかなり読んでおいた方が良いと思います。

知識をつける意味でもそうなんですけど、論理的に組み立てて考えられる能力はやはり本を読むことでかなりつくと思います。

色んなジャンルの本を読んで、色んな考え方や文章の組み立て方を勉強していた方が、新聞社で働くにはかなり有利だと思います。

実際に本をたくさん読んでいる先輩達は、しっかりした論理的な思考能力を持っていたと思います。

参考になるホームページがあります。新聞社のホームページで、その日のトップニュースのポルトガル語版が3、4本と日系社会のニュースが3、4本毎日更新されています。

「ニッケイ新聞」というんですが、そこで働いていたので、そこを読んでいただくとよくわかると思います。

興味のある方は、何も考えずにやってみてください。ペンとノートとカメラだけ持ってやってみることで、今までからは想像がつかない世界が待っていると思います。

必ずと言っていいほど壁にぶち当たりますが、泣いたり笑ったり怒ったり、色んな感情が一度に経験できます。

逃げ出したいくらい締め切りに追われたり、もう書けないという時もたくさんあると思うんですけど、それでもそれなりの価値のある仕事だと思います。

それから自分の考え方の幅が凄く広がると思います。

ものの見方が語る人によって違いますし、そういったことにも注意しながら新聞というのは書かなきゃいけないし、読む人によっても違った気持ちを起こさせるので、色んな角度から見る力がつきます。

ですから新聞社を経験して人生にとって損はないと思います。凄くお薦めの仕事だと思います。

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